Japanese
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特集 前頭葉障害とリハビリテーション
症例報告:再就職を果たした遂行機能障害患者の1例
A Case of Dysexecutive Syndrome followed for Five Years until Establishment of Re-employment as a Competitive Employee.
布谷 芳久
1
,
木村 彰男
1
Yoshihisa Nunotani
1
,
Akio Kimura
1
1慶応義塾大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University, School of Medicine
キーワード:
前頭葉機能障害
,
遂行機能障害
,
supported employment
Keyword:
前頭葉機能障害
,
遂行機能障害
,
supported employment
pp.549-552
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108680
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はじめに
Lezakは遂行機能(executive function)を“目的をもった一連の行動を,自立して有効になしとげるために必要な機能”と定義し,注意・記憶等の各認知機能単位の働きを制御・統合する,より上位の機能単位であるとしている.個々の認知機能に障害がなくても,遂行機能障害が存在すれば,“活動開始能力の障害”,“動機付けの減退”,“目的を持った行動を完結させるために必要な一連の活動の立案や実行の障害”等が生じ得る1)とする立場である.臨床場面でも,Wisconsin Card Sorting Test等に代表される,前頭連合野の機能を反映する,いわゆるワーキングメモリー課題でほとんど成績の低下を認めない症例でも,遂行機能障害のために,社会復帰に難渋することがしばしば経験される.
今回は,発症後5年間にわたりフォローした症例について,退院から再就職を果たすまでの経過を中心に,考察を交えて報告する.
なお,本症例の発症から退院,および初期の復職までの経過についてはすでに報告してあるため,経過の記述を一部簡略化した.詳細については別稿4)を参照されたい.
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