連載 高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術・第9回
前頭葉機能障害児童の自傷行為が新たな自己意識を形成することにより改善した1例—社会的行動障害評価へのSchool Function Assessmentの活用
馬屋原 誠司
1
1広島県立教育センターふれあい相談室
キーワード:
前頭葉機能障害
,
自己意識
,
社会的行動障害
,
School Function Assessment(学校生活機能評価)
,
合理的配慮
Keyword:
前頭葉機能障害
,
自己意識
,
社会的行動障害
,
School Function Assessment(学校生活機能評価)
,
合理的配慮
pp.716-720
発行日 2016年9月18日
Published Date 2016/9/18
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はじめに
小児後天性脳損傷の多くでは,救命されると,リハビリテーション(以下,リハ)ののちに学校に復帰している.しかし,復学直後には安定していた児童生徒が,その後に社会的行動障害などを呈するために学校生活に困難をきたしている症例が多くみられることが報告されている1).この社会的行動障害を引き起こす発生機序の1つとして,Prigatanoは,自己の意識性の障害と脳損傷後における自己の意識性に対する変化の重要性を指摘し,前頭葉異質モード,側頭葉異質モード,後頭葉異質モード,頭頂葉異質モードと損傷部位ごとに症状を報告している2, 3).
本事例はPrigatanoの提唱する前頭葉異質モードの完全症候群と部分症候群のうち,部分症候群に相当し,新たな自己意識を形成させることにより社会的行動障害の改善に取り組み,良好な経過を認めた例である.
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