書評
岩崎貞徳監訳―脳外傷者のリハビリテーション 就労をめざして
小川 浩
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター職業前指導科
pp.544
発行日 1998年6月10日
Published Date 1998/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108678
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本書は,先日来日したWesolek博士が所長をつとめるStout Vocational Rehabilitation Instituteより出版されているCommunity-Based Employment Following Traumatic Brain Injuryの翻訳書である.
内容は医学的側面から生活面まで,脳外傷の職業リハビリテーションに関わる情報が幅広く網羅されている.現場での実務に直結する部分では,先ず第1章「脳外傷をもつ人々の神経心理学的評価」において高次脳機能障害の症状とその具体的評価方法が説明されている.脳の損傷部位との関連で認知障害が解説されており興味深い.第3章「脳外傷に対するコンピューター作業の訓練」では記憶障害をもつ人に対する訓練の事例が紹介されており,その具体的方法論はわれわれの実践にも応用できるヒントを与えてくれる.さらに第6章「脳外傷をもつ人々の地域に根差した職場における行動管理」では,応用行動分析を活用するうえでのガイドラインが示されており,職業場面での問題行動にどのように対処すべきかが整理されている.
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