「精神医学」への手紙
Letter—慢性ウイルス脳炎の診断根拠—岩崎論文への意見と丸井論文の訂正/Letter—レターにお答えして—慢性ウイルス脳炎の診断方法について—岩崎論文の訂正
丸井 規博
1
,
岩崎 進一
2
1京都大学医学部精神医学教室
2大阪市立大学医学部神経精神医学教室
pp.1014-1015
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904408
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本誌1997年4月号の岩崎らの慢性脳炎の論文2)を興味深く拝読した。岩崎論文の症例は症状,経過などを総合すれば慢性脳炎がもっとも疑わしい。しかし血清学的に慢性ヘルペス脳炎とする診断根拠に疑問がある。すなわち抗体指数を算出した際のELISA値は吸光度,係数などのいわゆる定性的変数ではなかったかという疑問である。一般に抗体指数を算出するには定量的変数である希釈倍数を用いなければならないとされている4)。しかしELISAでは吸光度や係数で抗体値を示す場合が多いので,Capture(抗体捕捉)IgG ELISAによる判定が重要となってくる1)。これは,プレートに抗ヒトIgG抗体を固着させておき,そのプレートに血清なり髄液中のIgGを捕捉させ,その中でのヘルペスウイルスに特異的な抗体の割合を血清と髄液で比較するものである。この値が髄液/血清比で1を超えると,髄液中のヘルペス抗体は血液脳関門の破壊による血中へのリークではなく髄腔内での産生であると判定される1)。
岩崎論文では従来の固相法ELISAで計算したのか,抗体捕捉ELISAを実施したのか明記されていない。また論文中,髄液細胞増加がなかったとする記載と,あったとする記載があり論旨がわからない。単なるミスプリントなのであろうか?
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