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特集 中枢神経障害のリハビリテーション
トピックス
バイリンガル(博言家)の失語症
Bilingual Aphasia.
安部 博史
1
,
福永 真哉
2
Hirofumi Abe
1
,
Shinya Fukunaga
2
1福岡徳州会病院リハビリテーション科
2国際医療福祉大学言語聴覚センター
1Department of Rehabilitation, Fukuoka Tokushukai Medical Center
2Center of Speech-Language-Hearing, International University of Health and Welfare
キーワード:
バイリンガル
,
博言家
,
失語症
Keyword:
バイリンガル
,
博言家
,
失語症
pp.1168-1176
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108509
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はじめに
バイリンガルの失語(bilingual aphasia)とは,一般には2か国語話者(bilingual)に生じた失語症のことを表すが,決して2か国語に留まらず数か国語話者(polylingual)の失語症者も含めており,広い意味では博言家の失語症(polyglot aphasia)を示している.
当然,2か国語以上の多くの言語を使用できる人口が増えない限り,失語を呈する症例の頻度も増すことはない.よって,より都会ほど,より国際都市になればなるほど,その頻度は増してくることになる.日本では,方言を入れれば必ずしも単一ではないが,ほぼ単一言語世界であるために,他国語に目を向けることが少なく,この分野の研究は他国と比較するとかなり遅れている.バイリンガルの失語症の研究となると,ヨーロッパでは約100年前より始まっているのに対して,日本では文献上では約20年前に,綿森ら1)によって報告されたのが始めてである.
本稿では,ヨーロッパを中心としたこれまでの研究結果のまとめと,それに対して自験例を追加した本邦での文献報告症例による検討を行う.
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