Japanese
English
特集 中枢神経障害のリハビリテーション
トピックス
流涎の病態と対策
Drooling and its Rehabilitational Management.
鈴木 美保
1
,
才藤 栄一
1
Miho Suzuki
1
,
Eiichi Saitoh
1
1藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, Fujita Health University
キーワード:
流涎
,
唾液
,
嚥下
Keyword:
流涎
,
唾液
,
嚥下
pp.1177-1184
発行日 1997年10月10日
Published Date 1997/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108510
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はじめに
流涎の英訳にはsialorrheaとdroolingがある.sialorrheaは,唾液の過度の分泌という意味を暗に含み,droolingは,通常,口唇からの唾液のこぼれ落ちている状態を意味する.しかし,広い意味での流涎は,口唇からの唾液のこぼれ落ちだけでなく,“口腔後部へのこぼれ落ち”すなわち通常なら,嚥下反射を誘発するはずの唾液が下咽頭に流入し,そのまま停留することを含めて使用されている.口唇からの唾液のこぼれ落ちは,本や道具,衣服などを汚染し,衛生上好ましくない(図1).また,こぼれた唾液は悪臭の原因にもなるばかりでなく,常に唾液にさらされている皮膚には難治性の潰瘍が生じたりする.体液や唾液に含まれている栄養分の喪失も否めない.さらに,対人関係においては相手に不快感を与え,仲間はずれ(social rejection)になることもある.リハビリテーション訓練においても,療法士がひっきりなしに流涎を拭かなければならず,運動療法や作業療法の進行にさしつかえる場合もある.また,口腔後部へこぼれ落ちた唾液は,適切に嚥下されないと,むせやせきこみ,悪心を起こさせ(gaging),誤嚥を引き起こすことにもなる.
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