Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
レマルクの『凱旋門』―活用すべきものとしての障害
高橋 正雄
1
1筑波大学心身障害学系
pp.865
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108478
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1946年に発表されたレマルクの『凱旋門』(山西英一訳,河出書房新社)は,大戦前夜のフランスで,もぐりの医者として活躍するラヴィックという亡命者を主人公にした物語だが,彼が出会う印象的な患者の一人に,ジャンノーという少年がいる.
ジャンノーは母親と二人暮らしをしている13歳の貧しい「くる病」の少年だが,自動車に足を轢かれたため,ラヴィックの手術を受けることになったのである.だが,病院にかつぎ込まれたジャンノーは,泣き叫んだりせず,医師たちを,じっと見つめるだけだった.
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