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病院の門
竹内 一夫
1
1虎の門病院・脳神経外科
pp.81
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203091
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筆者は一昨年の夏から秋にかけて欧州の7カ国の代表的な脳神経外科の施設を見学する機会に恵まれた。もちろんその折にはたくさんの写真をとってきたが,帰国してから整理してみると,いろいろなところで病院の門を写してきていることにきづいた。これは欧州では病院の門がわが国のそれとは大分異なっていて,多くは遮断機をもったたいへんいかめしい関所になっているところが多いため,しらずしらずのうちにシャッターをきってしまったためであろう。
そもそも欧州の病院はむしろ大部分がいまだ旧式で,近代的の病院はあまりみられなかったが,多くは静かな環境に恵まれた地域に建てられていた。外来患者は極めて少なく,わずかに救急患者が運び込まれたり,紹介患者や過去に入院したり手術を受けたことのある患者たちが訪ずれてくる程度である。したがって病院の構内はひっそりしていて,面会者もまばらである。重症患者の枕頭にさえ家人がつきそっている光景は,ほとんどみられなかったほどである。
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