Derm.2018
皮膚科も門門(かどかど)
藤本 典宏
1
1防衛医科大学校皮膚科学講座
pp.65
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205384
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商いは門門(あきないはかどかど)ということわざがある.意味は,お客をよく観察して,そのお客に適した品物を売るのが商売を成功させるコツであるということ.これを敷衍すると医療施行者にとっても,病院を受診する患者にはそれぞれニーズと希望があるはずであり,それに応じた医療を提供することがコツということになる.したがって,皮膚科医もそれぞれの患者さんに応じた接遇をし,診断・治療をすることに心を砕くのが診療の基本になる.しかしながら,病因や診断までもが,ご本人の中で確定している方が診療ブースに入ってこられることも少なくない.寄生虫妄想などはその最たるものである.待合室が込んでいたような場合は,自分の番までかなり待たされたあげく,本人からすれば,診断も間違っているじゃないか,このヤブ医者! となってしまう.このような事態を防ぐには,まずは患者の立場に立ってみることが必要不可欠? お待たせしてスミマセンでしたの一言が必須? 患者から信頼を得られる話し方や声音を訓練して獲得? 一目見るだけで,患者から信頼される外見に調整? 名医が醸し出すオーラを借用し偽装? など考えてみるが,無理は禁物.難しい患者さんにも波長の合う先生がいるはず.そういえば,商いは門門のもう1つの意味は,客目線から商売にはそれぞれ専門があるので,専門店で買うのが一番であるということだった.そうか,患者によって好みに合う病院や医者はそれぞれ異なっているので,そこを受診してもらえばいいだけじゃないか.つまり,扱いの難しい患者さんを納得させるのが上手い先生(時に精神科医)にお任せだ.結語:医療は門門なのである.もちろん皮膚科も.
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