Japanese
English
特集 運動と健康
免疫機能
Immune Function.
白倉 卓夫
1
,
倉林 均
2
Takuo Shirakura
1
,
Hitoshi Kurabayashi
2
1東京都多摩老人医療センター血液科
2群馬大学医学部附属病院草津分院リハビリテーション部
1Department of Hematology, Tokyo Metropolitan Tama Geriatric Hospital
2Division of Rehabilitation, Kusatsu Branch Hospital, Gunma University Hospital
キーワード:
リハビリテーション
,
免疫
,
運動
Keyword:
リハビリテーション
,
免疫
,
運動
pp.799-804
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108463
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はじめに
人類の歴史からみると,文明の発達していなかった時代には,体を動かすことによってのみ食物を取得し,外敵から身を守ることで生命活動を維持してきたといえる.人類の子孫を残すうえで運動は不可欠のものであったわけである.
われわれの体内では,この運動によってエネルギーが消費されるが,エネルギーは体内に摂取される栄養物によってまかなわれ,余りはグリコーゲンや脂質として肝臓や筋,脂肪組織にエネルギー源として蓄えられる.
近代文明の発達に伴って,これらの目的のための身体運動は文明の利器にとってかわり,ヒトの運動量は著しく減少し,その結果,慢性的な運動不足がもたらされた.絶対的,相対的なエネルギー過剰状態は,肥満,糖尿病,高脂血症,その他の各種代謝性疾患の急増を招き,今日,わが国で,生活習慣病としてこれら疾患が大きくクローズアップされていることは周知のことである.
それに反して「免疫」という問題はきわめて影が薄く,また人々の関心も高いとは決して言えない.しかしながら,これからの高齢化社会を迎えて,高齢患者の増加は確実であり,免疫能低下の必発する高齢者の健康を考えるうえで,免疫能は無視できないものと思われる.
これまで「運動と健康」問題はスポーツ関係の研究テーマとして取り上げちれることが多く,対象も一般健康人に絞られることがほとんどである.本稿では,本誌読者層からみて関心が深いと思われる「運動機能障害者の運動療法が免疫能にいかなる影響を及ぼすか」といった身近な点に焦点を絞り,筆者らがこれまでに得た検討成績を踏まえ概説することとする.
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