Japanese
English
特集 運動と健康
運動と健康―総論
Exercise and Health.
池田 正春
1
,
南里 宏樹
1
Masaharu Ikeda
1
,
Hiroki Nanri
1
1産業医科大学産業生態科学研究所健康開発科学教室
1Department of Health Development, Institute of Industrial Ecological Sciences, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
運動
,
健康
,
生活習慣病
,
運動トレーニング
Keyword:
運動
,
健康
,
生活習慣病
,
運動トレーニング
pp.793-798
発行日 1997年9月10日
Published Date 1997/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108462
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はじめに
近年,わが国では,悪性新生物,脳血管疾患,心疾患が国民総死亡数の60%を越える主要な死因となり,国民の健康上の重要課題となっている,これらの疾患は40歳以降に生ずることから成人病と呼ばれてきたが,これらの疾患の発症には日頃の生活習慣が強く関与することから“生活習慣病”と呼ぶことが提唱された.生活習慣病を予防するためには,栄養,運動,休養のバランスのとれた健康的なライフスタイルの確立が必要であるが,このなかでも運動が重視されている.
生活習慣病のうち,心血管疾患の危険因子として肥満,耐糖能異常,高血圧,高脂血症,喫煙,ストレス,運動不足などあげられる.これらのうち,喫煙を除く危険因子に対して運動不足がさらに危険因子として関与している.すなわち,運動不足が生活習慣病の発症に関与したり,他の危険因子を招来し,それらがやがて重大な疾病の発症に関与すると考えられる.
運動の効果として,血圧の低下,肥満の是正,血糖,脂質の改善,インスリン感受性の増大など,生活習慣病やその危険因子の改善などの効果があることが報告されている.定期的な運動により,体力(フィジカルフィットネス)を高めることが可能であるが,フィジカルフィットネスということばは,与えられた仕事をこなしたうえ,積極的休息にも十分余裕をもって対処しうる能力を意味している1).したがって,運動は病気を予防するのみならず,さらに健康のレベルを高め,生活の質を高めることになる.
本稿では,運動の生理的効果,運動の生活習慣病の予防効果など,運動と健康について述べる.
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