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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.11
免疫とグライコーム
-――グライコームの1細胞解析技術
Immunity and the glycome
――Single-cell analysis of the glycome
舘野 浩章
1
Hiroaki TATENO
1
1国立研究開発法人産業技術総合研究所
キーワード:
グライコーム
,
糖鎖
,
免疫
,
1細胞
Keyword:
グライコーム
,
糖鎖
,
免疫
,
1細胞
pp.1147-1152
発行日 2024年9月28日
Published Date 2024/9/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290131147
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SUMMARY
免疫系は,内因性および外因性の損傷に対する宿主の応答を調節する賦活回路と抑制回路の複雑なネットワークによって調整されている.細胞の最も外側を覆うグライコームは,免疫応答のファインチューナーとして機能し,免疫寛容や免疫活性化を制御する.免疫細胞のグライコームは,これまでバルクでの解析手法しか存在せず,そのため1細胞レベルでの理解が妨げられていた.筆者らは,複数のDNAバーコード標識レクチンを用いることで,糖鎖情報を遺伝情報に変換,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅し,個々の細胞の糖鎖と遺伝子の発現を同時解析する技術(scGR-seq)を開発した.scGR-seqを用いて末梢血単核細胞(PBMC)を解析すると,免疫細胞ごとのグライコーム情報を一斉取得,細胞系譜における糖鎖変化を明らかにし,免疫細胞グライコームの新たな機能を解析した.本稿では,筆者らが世界に先がけて開発に成功した1細胞グライコーム解析技術についてご紹介するとともに,今後の免疫糖鎖研究における展望について議論する.
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