Japanese
English
特集 学習機能とリハビリテーション
脳損傷後の学習障害とリハビリテーション
Learning Disabilities and Rehabilitation after Brain Damage.
佐々木 和義
1
Kazuyoshi Sakaki
1
1神戸市看護大学
1Kobe City College of Nursing
キーワード:
学習
,
行動療法
,
脳損傷
,
高次脳機能障害
Keyword:
学習
,
行動療法
,
脳損傷
,
高次脳機能障害
pp.521-527
発行日 1997年6月10日
Published Date 1997/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108395
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はじめに
脳損傷後の学習障害とリハビリテーションを考えた場合,医学的処置によって,あるいは自然に回復する機能や行動は学習やリハビリテーションの対象とはならない.以前とは異なった行動形態(たとえば歩容や車椅子移動)であっても,行動(たとえば歩行や移動)を損傷を受けた脳で獲得していくことがリハビリテーションの重要な側面とするならば,それは取りも直さず学習の過程にほかならない.脳損傷後の学習障害という概念は明確な定義はなく,運動障害や高次脳機能障害によってもたらされる学習上の障害はすべて学習障害ともいえる.運動学習に関しては本稿の分担ではないので,ここでは高次脳機能障害について検討していくことにする.
学習理論を中心として,心理学の諸知見を応用するのが行動療法,あるいは行動変容(修正)法である.その概念については,ここでは詳述せずに,他書に譲りたい.今回はその大枠で,どのような問題に対して,どのように扱うことができるかを,報告済みの自験例を紹介しつつ考え,さらにリハビリテーション訓練で患者に生じている変化を学習理論でどう理解するかも考えていきたい.
今回は観念失行症と半側空間無視と道順障害を例として取り上げ,獲得の側面を考える.古典的条件づけによって特定の状況と結びついた不安や恐怖を低減する手続きについては述べない.
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