一頁講座 リハビリテーション関連用語
筋再教育
齋藤 宏
1
1東京都立医療技術短期大学
キーワード:
筋再教育
,
筋力強化
,
固有感覚系
,
神経生理学的理論
Keyword:
筋再教育
,
筋力強化
,
固有感覚系
,
神経生理学的理論
pp.483
発行日 1997年5月10日
Published Date 1997/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108382
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筋再教育(muscle reeducation)は,失われた筋機能を再学習したり,新たに獲得するための運動療法を指す.筋再教育の考え方は20世紀初頭に,主としてポリオによる麻痺の評価・治療を意図したものとして,Lovett,KendallおよびKennyらによって提唱された.Lovettは重力に対抗する運動の可能性を検査するためのgravity testを考案した.これは随意的インパルスに応答して個々の筋が収縮し得るか否かを知るためのものであった.Kendallは筋力を重力と抵抗の要素を加えて0から100%の範囲にわたって記録する方法を考えた.これらをもとにして個々の筋の再教育としての訓練法が発達し,後に,現在汎用されている徒手筋力検査法が体系化された.Kennyは脊髄性小児麻痺による筋機能の低下に加えて,痙縮や運動協調不能による機能障害まで拡大したmuscle analysisの方法を考え,上位ニューロン障害をも包含して扱う運動療法の糸口をもたらした.
このように1940年代までの筋再教育としての運動療法は,関節の動きに関与する一つの筋あるいは筋群の収縮に重点が置かれたものであった.
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