Japanese
English
特集 慢性疼痛へのアプローチ
運動療法―慢性腰痛に対する運動療法
Therapeutic exercise: Therapeutic exercise for chronic low back pain.
千田 益生
1
,
堅山 佳美
1
,
迫間 巧将
1
,
馬崎 哲朗
1
Masuo Senda
1
,
Yoshimi Katayama
1
,
Yukimasa Sakoma
1
,
Tetsurou Masaki
1
1岡山大学病院総合リハビリテーション部
1Division of Physical Medicine and Rehabilitation, Okayama University Hospital
キーワード:
慢性腰痛
,
運動療法
,
筋力強化
,
Williamsの体操
Keyword:
慢性腰痛
,
運動療法
,
筋力強化
,
Williamsの体操
pp.759-764
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102166
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はじめに
腰痛は,先進諸国の国民の70%以上が生涯のいずれかの時点で経験する1)と言われているほど頻度が高い疾患である.日本における有訴者率では,男性では25~84歳で腰痛が1位,肩こりが2位であり,女性では15~64歳で1位肩こり,2位腰痛,65歳以上で1位腰痛,2位手足の関節痛であった2).このように,腰痛は非常に多くの人々が悩んでいる疾患であり,生活習慣病の一つとも言われている.
腰痛の定義としては,肋骨縁の下方から下殿部ひだの上方にかけて局在する疼痛,筋緊張,あるいは硬直であり,下肢疼痛を伴う場合と伴わない場合がある3)とされている.また腰痛症(非特異的腰痛)とは,認識できる病因(感染,腫瘍,骨粗鬆症,関節リウマチ,骨折,炎症など)に起因しない腰痛である4,5).
発症様式は,急性と慢性に分類される.急性腰痛症の90%は6週間以内に回復し,通常,自然治癒するが,2~7%は慢性になる6)と言われている.慢性腰痛症とは,発症から3か月以上継続する腰痛症であり,明らかな神経学的脱落所見を伴わない5)とされており,従来,頻度は高くないとされてきたが,さまざまな疫学調査から,最近は決して少なくないと報告されている4).また慢性腰痛症は,心理・社会的因子の影響を強く受けている症例が少なくない5)ので,なかなか厄介な疾患である.
運動療法は,腰痛症に対する保存的治療の根幹をなすものであり,国民生活の健康においてきわめて重要な意味をもつ.そこで本稿では慢性腰痛に対する運動療法について記載する.
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