Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「グース」―障害者理解をサブリミナルにさりげなく
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.279
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108336
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ここ数年,周知のように障害者の問題やその理解を主題とする映画やテレビドラマが増えてきている.さらに面白いのは,あたかもサブリミナル効果のごとく,直接的な主題ではないけれど,細部の表現において,さりげなく障害者理解の課題を示す作品も出てきていること.
今年の正月に公開された「グース」(監督/キャロル・バラード)は,まさにそれ.グースとはガチョウのこと.グースのヒナたちは,生まれて一番初めに見た少女エイミー(アンナ・パキン)こそ母親だと思ってしまう.いわゆる“刷り込み”というやつで,初めて見た動くものを親と思いこむグースの特性なのだ.ところが,グースは渡り鳥.その渡りのコースを教えるのは親の役割.かくして,エイミーは,グースと同じ速度で飛ぶ自家製超軽量飛行機に乗り込み,南の地へと旅立つ.この飛行シーンのために,時速50kmで飛ぶ飛行機も製作したというから驚きだ.飛行機マニアを自認する,かの宮崎駿のアニメをほうふつさせる美しく爽やかな映像だ.
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