Japanese
English
特集 障害受容における相互作用
自己受容と他者の相互作用(ズレ)の関連―視覚障害事例を通して
The relationship between self acceptance and social interactions(“mystification”): through case studies of people with visual disability.
柏倉 秀克
1
,
南雲 直二
2
Hidekatsu Kashiwakura
1
,
Naoji Nagumo
2
1愛知県立名古屋盲学校
2国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
1Aichi Prefectural School for the Visually Impaired
2Reserch Institute, National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities
キーワード:
障害受容
,
相互作用
,
ピア・サポート
,
視覚障害者
Keyword:
障害受容
,
相互作用
,
ピア・サポート
,
視覚障害者
pp.837-842
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100884
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はじめに
障害受容は受傷後の心の苦しみを緩和する方法である.筆者らは障害受容には2つの側面があると考えている.一つは,自分の中から生じる心の苦しみの緩和としての自己受容であり,もう一つは,他人から負わせられる心の苦しみの緩和としての社会受容である1).こうした視点からみると,従来の障害受容は自己受容に偏っていることが分かる.このことは患者に実害をもたらしている.例えば,他人から負わせられる心の苦しみなど存在しないかのようであり,かりに存在したとしてもその苦しみの緩和を患者個人に任せ放しにしている.しかも受容が進まない患者に対し,個人の努力不足と決めつけてきたきらいがある.
社会受容という視点は,従来の障害受容の弊害である“行きすぎた個人主義”に反省を促す点で重要である.それのみならず,自己受容の成否との関連に注意を向けさせる点でも重要である.実際,家族関係2)や「仲間の力」3)が障害受容(自己受容)の成否や促進に大きな影響を持つとの報告がなされている.そこで本研究では,自己受容が社会(家族を含む)の人々との関わりのなかでどのように変化していくのかを明らかにしようとした.
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