Japanese
English
研究と報告
痴呆性疾患患者における活動性維持の検討―調理活動からの一考察
Maintaining Activity in Dementia: Study on Cooking Performance.
時政 昭次
1
,
池田 学
1
,
博野 信次
1
Akitsugu Tokimasa
1
,
Manabu Ikeda
1
,
Nobutsugu Hirono
1
1高齢者脳機能研究センター
1Hyogo Institute for Aging Brain and Cognitive Disorders
キーワード:
アルツハイマー病
,
Pick病
,
痴呆性疾患
,
日常生活動作
,
調理能力
Keyword:
アルツハイマー病
,
Pick病
,
痴呆性疾患
,
日常生活動作
,
調理能力
pp.861-869
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108195
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
変性性痴呆性疾患の代表であるアルツハイマー病(AD)とfrontotemporal dementia(FTD)は,大脳に主病変を有する疾患であり,ADはびまん性の大脳萎縮像を示すのに対し,FTDは限局性の大脳萎縮像がその病理学的特徴である.痴呆性疾患は,さまざまな認知障害により多様な日常生活動作(ADL)および社会生活行為(ASL)の障害を生じ,リハビリテーションの重要な対象疾患である.同じ変性性痴呆性疾患とはいえ,この両疾患におけるADL・ASL障害の原因となる機能障害は異なり,ADで健忘と失行1)が,FTDで無関心,自発性の低下をはじめとする人格変化と常同行動,強迫行動などの行動異常2)があげられる.このため能力障害の原因となる,疾患に特徴的な機能障害を評価することが重要であると考えられる.
今回,われわれはAD5症例とFTD2症例に対し,ASLの一つである調理能力の評価を実施した.各疾患における調理能力の障害のされ方を比較し,活動性の維持・向上のための介助方法の相違について検討を行ったので報告する.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.