Japanese
English
特集 多発性脳梗塞のリハビリテーション
診断と治療
Diagnosis and Therapy of Multiple Brain Infarction.
平野 照之
1
,
橋本 洋一郎
2
,
内野 誠
1
Teruyuki Hirano
1
,
Yoichiro Hashimoto
2
,
Makoto Uchino
1
1熊本大学医学部神経内科
2熊本市民病院神経内科
1Department of Neurology, Kumamoto University Hospital
2Department of Neurology, Kumamoto City Hospital
キーワード:
多発性脳梗塞
,
ラクナ梗塞
,
ラクナ状態
,
無症候性脳梗塞
,
脳血管性痴呆
Keyword:
多発性脳梗塞
,
ラクナ梗塞
,
ラクナ状態
,
無症候性脳梗塞
,
脳血管性痴呆
pp.507-513
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108121
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はじめに
「多発性脳梗塞」の名称は非常に曖昧に用いられている.われわれが脳血管障害の急性期を中心に診療している場合,何度も梗塞を繰り返して多発性の梗塞をきたしている状態をイメージする.しかし一般的にはラクナ状態や多発梗塞性痴呆を念頭に用いられていることが多いように思われる.
離散性病変を形成する塞栓性機序による脳梗塞(心原性脳塞栓症や動脈原性脳塞栓症)や,血行力学的機序により生じた境界域梗塞も多発性脳梗塞として差し支えはない.しかし,多発した梗塞巣の一つ一つが,全て神経症候を呈するわけではなく,無症候性病変の問題は多発性脳梗塞を語るうえで避けては通れない問題である.
無症候性脳梗塞の大半は穿通動脈領域のラクナ梗塞である1).個々のラクナに対応する局所神経症状はないまま次第に進行し,仮性球麻痺,パーキンソニズムを呈し,脳血管性痴呆に至る一群があり,近年の高齢化社会において重要な問題となっている.本稿では「多発性脳梗塞」を,無症候性脳梗塞との関連を含めて,いわゆるラクナ状態,脳血管性痴呆を主眼において解説する.
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