専門病院におけるシステム

A System in Skilled Rehabilitation Hospital.

はじめに

　リハビリテーションはプライマリーケア・メディシンの中核的形態である包括医療を実践する場であり，そのシステムは“複数の要素が有機的に関係し合い，全体として纒まった機能を発揮している要素の集合体や組織”と広辞苑における「システム」の定義そのものがあてはまる医療の組織である．

　システムは一朝一夕でできるものではなく，医療のニーズが存在するところに，それを受け止めるべく，多くの職種のマンパワーが結集し，持ち分を出し合い，試行錯誤を繰り返して包括的で継続的な医療を責任をもって実行し続ける組織である．その拠り所である地域の事情（医療事情，人口の構成や分布，民度の違い，産業状況など）は，その組織の基本的な存在条件である．そしてその条件に最もマッチした組織体にもっていくように努力されているのが通例であろう．

　効率良く組織を運営するためには他の組織体との協力関係が必須となる．すなわち，大所高所から本当に地域住民のためになるようなシステム形成には自分のセンターだけの活動では大きな限界がある．行政のシステムとの統合がどうしても必要になってくる．そこに至って初めて，リハビリテーションのシステムが本来の機能を発揮するものと確信している．

　本稿では公立病院としては日本で最初のリハビリテーション専門病院である当センターのリハビリテーション・システムを紹介し，努力途上の目標，問題点などについて述べてみたい．