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はじめに
脳卒中治療ガイドライン2021において,歩行機能改善を目的とした短下肢装具の使用,並びに歩行訓練のための長下肢装具の使用は妥当(推奨度B)とされている1).また近年,新たな素材や秀れた機能を有する継手の開発によって脳卒中の歩行障害に対応する短下肢装具の種類も増えてきている2).そのため患者の状態により適した装具の使用で歩容の改善を図ることができるようになった.その反面,治療展開や予後に鑑みて最適な装具の選定に迷う場面も多く,その解決にブレースクリニック(brace clinic:BC)が活用されている3).BCとは,装具処方に対し,医師,理学療法士(PT)と義肢装具士(PO)がより良い装具選定のため議論する場である4).加えて経験年数の短い若手PTにおいてはBCに参加することで,担当の枠を越えて装具選定を数多く経験できる教育的な側面もある5).
以上のようにBCは大変有意義であるが,最近のコロナ禍によって,3密回避のリハビリテーション介入6)や,セラピストの担当病棟ゾーニング対策7)など,実地で患者やリハビリテーションチームの関係者が集まり議論することが難しい状況となっている.そのためわれわれの施設においては,これまでのようなBCの実施回数や規模が縮小傾向となっている.BCを行えずに少人数のPT・POの判断基準で装具の選定を進めてしまうのは,患者にとっても得られるところが少ない状況であると言える.また参加するPTが少ないことは,BCで得られていた臨床経験が個人ばかりでなく,所属する組織で蓄積できないことも懸念される.そこでわれわれはBCの新たな取り組みとしてウェブを活用したオンデマンド形式のBCシステムを開発した.今回はその内容を紹介するとともにその意義について考察し報告する.
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