巻頭言
リハビリテーション医学の研究―神経系のplasticity
眞野 行生
1
1北海道大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.301
発行日 1996年4月10日
Published Date 1996/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108076
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リハビリテーション医学の研究で中枢神経系の可塑性(plasticity.)を追究することは大変興味がある.ヒト中枢神経系のplasticityを把握する種々な方法が最近開発された.私達は脳のplasticityを,その変化の起こる部位から,a)一部の脳の障害により,その部位の近傍で起こる変化,b)一部の脳の障害により,その部位とは離れた他の脳の部位での変化,c)脳以外の部位が障害されて,脳で変化をみることの,この3つに分けて考えている.
一部の脳の障害による,脳のPlasticityについての研究はかなり古くから動物では行われている.障害された部位より,再生が起こり,すなわち神経系の発芽(sprouting)現象がみられる.これは中枢神経系にもみられ,これが成立するには障害後時間的経過が必要である.これに対して今まで働いていなかった回路が,障害された回路の代償として働くことがある(unmasking).この現象は障害後比較的早くみられる現象である.
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