連載 リハビリテーション医学研究のこれから
Neural plasticityを高めて,脳血管障害患者の回復を促す
角田 亘
1
,
久保 仁
1
1国際医療福祉大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.1421-1423
発行日 2021年12月18日
Published Date 2021/12/18
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脳血管障害のリハビリテーション医療におけるneural plasticity enhancementとは?
脳血管障害患者に訓練を行うことで,片麻痺や失語症などの神経症状が回復することは日常的に経験される.このような神経症状回復は,「脳の機能代償」によっているものと考えられる.すなわち,脳の一部が損傷されたとき,その損傷を逃れた健常脳組織(特に病巣周囲組織)が神経機能を代償しようと自らの神経活動性を「変化させる(高める)」のである.このような脳がもともと兼ね備えた「変化する能力」は,neural plasticity(脳の可塑性)と称されるが,そうすると人為的に「neural plasticityを高めること(neural plasticity enhancement)」ができれば,それによって訓練効果が生じやすくなり,神経機能の回復が進むものと期待される1).現在ではneural plasticity enhancementは,脳血管障害のリハビリテーション医療における最も重要な研究ターゲットの1つとなっている.
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