Japanese
English
特集 進行性疾患とリハビリテーション
癌による全身的な障害をもつ患者のリハビリテーション
Rehabilitation of the Patient with Generalized Impairments due to Malignancy.
上田 敏
1
,
大川 弥生
1
Satoshi Ueda
1
,
Yayoi Ohkawa
1
1帝京大学医学部附属市原病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Teikyo University Ichihara Hospital
キーワード:
癌
,
白血病
,
体力
,
ハイリスク・体力消耗状態
,
積極的リハビリテーションプログラム
Keyword:
癌
,
白血病
,
体力
,
ハイリスク・体力消耗状態
,
積極的リハビリテーションプログラム
pp.553-562
発行日 1995年7月10日
Published Date 1995/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107895
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はじめに
従来「癌のリハビリテーション」といえば,乳癌切除後の肩関節拘縮・リンパ浮腫などの後療法,大腸癌術後の人工肛門のマネージメント,喉頭癌に対する喉頭切除術後の音声機能の回復,骨肉腫に対する切断後(最近では温存術後)の義足,骨転移による骨折に対する対策,あるいは脳腫瘍や脊髄腫瘍による運動障害に対する対応などの,運動障害を主とする個別的な問題に対するものと考えられることが多く,癌一般に対するリハビリテーションが取り上げられることは少なかった.
しかし,ここ10年位前から癌(悪性腫瘍)に共通する全身的障害としての体力消耗状態が重要なリハビリテーションの対象と考えられるようになり,そのプログラムが開発され成果を上げるようになった.これには癌の内科的・外科的治療の著しい進歩により,延命が相当程度可能になったことが大きく影響している.しかし同時に,ターミナル・ケアの思想にも共通するが,たとえ死が数か月・数年のうちに避けられないとしても,残りの人生を苦痛少なく,主観的にも客観的にもQOLの高いものとして過ごす権利が人間にはあるはずだ,という医療思想・人権思想の影響も大きいものと考えられる.同時にそれはリハビリテーション医学においては「体力」の機能障害としての再認識という実証医学的な知識の深まり,それに対処する技術の進歩とも結びついていた.
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