Japanese
English
特集 理学療法―その客観的評価と作用機序
頸椎牽引―末梢循環と膨隆椎間板形態
Morphological Change of the Cervical Disc and Circulatory Change of the Upper Limbs indused by Cervical Traction.
下保 訓伸
1
,
山本 博司
1
Kuninobu Kaho
1
,
Hiroshi Yamamoto
1
1高知医科大学整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Kochi Medical School
キーワード:
頸椎牽引
,
MRI
,
サーモグラフィ
Keyword:
頸椎牽引
,
MRI
,
サーモグラフィ
pp.21-24
発行日 1995年1月10日
Published Date 1995/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107770
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はじめに
理学療法のうち,各種の疼痛に対する保存的治療手段として広く普及しているのが物理療法である.そのうちでも,頸椎牽引療法は,最も一般的に行われている物理療法の一つとしてあげられる.頸椎牽引療法は,種々の頸椎症状を持つ者に対しての,力学作用を利用した保存的治療手段である.しかし,未だ対象となる疾患,方法,客観的(臨床的)評価および作用機序等に関しては十分に解明されていない.その専門的知識が不要な故の手軽さからか,あるいは医療行為としての医療点数の問題からか,一般医療施設に限らず,専門病院においても,牽引装置を用いただけの安易な治療行為が漫然と行われているのが現状である.
理学療法としての頸椎牽引療法には,1)通院治療としての電動式牽引装置を用いた間欠牽引,2)入院治療としての,Glisson係締やsayre係締による介達牽引による持続牽引の2つの方法がある.この両者は,対象となる症状(疾患)や治療目的が異なるものであり,そのことを理解したうえで,治療手段として使い分けなければならない(表1).
ここでは,頸椎牽引療法の臨床的効果(表2)とそのメカニズムについて,間欠牽引に関しては牽引下の上肢の末梢循環の変化を,持続牽引に関しては牽引下の膨隆椎間板形態等の脊柱管内変化を検討し,考察を加えつつ述べることとする.
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