書評
伊藤利之・鎌倉矩子 編―ADLとその周辺―評価・指導・介護の実際
石神 重信
1
1防衛医科大学校リハビリテーション部
pp.842
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107708
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この本を読んで,ADLはリハビリテーション(以下,リハ)の最も重要な治療と評価の対象であるにもかかわらず,今まで,ADLに関して,わかりやすくよく書かれた教科書が意外に少ないのに気がついた.また,ADLはリハ関係者だけでなく,福祉関係者などにも広く使用されてきており,地域でも共通語としての重要性も高まってきているが,どうも言葉だけが一人歩きしてきている傾向がある.リハ関係者の一人として,ADLに対してもっとしっかりした理解を持ってほしいと考えていた時期だけに,タイミング的にも,この本の出版された意味はきわめて大きいと考える.
編者の伊藤先生,鎌倉先生はかつての評価基準委員会での長年の仲間であり,評価基準委員会で作成したADLチェック表(p25―30)の実際の製作にあたった先生方であり,当代随一のADLの権威であるといっても過言ではなかろう.わかりやすく「学生の教科書や実習書として」と編者は言われているが,実際にわかりやすく書くには,十分な知識と経験がないと書けないというのが実態で,その点からも,これほどの編者は他にはいまい.
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