Japanese
English
特集 障害受容
脊髄損傷患者の障害受容―stage theory再考
Psychological Adjustment to Spinal Cord Injury: Stage Theory Revisited.
南雲 直二
1
Naoji Nagumo
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所心理実験研究室
1Department of Rehabilitation Sociology and Psychology, Research Institute, National Rehabilitation Center for the Disabled
キーワード:
脊髄損傷
,
stage theory
,
心理的障害
Keyword:
脊髄損傷
,
stage theory
,
心理的障害
pp.832-836
発行日 1994年10月10日
Published Date 1994/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107706
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はじめに
わが国において障害受容過程の理解と対応にはstage theoryが広く支持されてきている(例えば,上田1),細川2)).後述するように,stage theoryは近親者との死別における精神分析的心理過程を障害者に適用したものであり,障害者全般にあてはまるところがあっても,脊髄損傷者に特有な心理や脊髄損傷者個々の心理について教えてくれるものではない.最近,米国のリハビリテーション心理学において,stage theoryを批判した論文が散見されるようになってきたが(例えば,Trieschmann3),Rohe4)),批判の多くはstage theoryにおけるこうした画一性にあるように思われる.しかしながら,stage theoryの問題点はそこにとどまるものではない.stage theoryは正常心理に適応されるものであり5),精神障害には禁忌であるが,stage theoryを精神障害に適応して誤った理解や対応がなされることがあるからである.
本稿は次の2節からなる.第1節はstage theoryの簡略な概観と問題点をまとめたものであり,第2節はstage theoryの禁忌である脊髄損傷者の心理的障害を概観したものである.本稿はstage theoryへの批判を主題としたものであるが,健全で実際に役立つ障害受容理論が構築されることを願ってのことに他ならない.
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