巻頭言 
                        
                        
                
                  
                  
                  
                  
                            
                                    
                                    
                                    
                                    
                            
                            
                
                
                
                            
                            
                  
                            
                                
                            
                        
                
                
                
                            
                        
                
                
                            
                            
                            
                  
                            
                                    
                                    もし脊損になったら
                                    
                                    
                            
                            
                        
                
                
                            
                            
                                
                                    
                                        
                                            
                                                山本 真
                                            
                                            1,2
                                        
                                        
                                        
                                        
                                            
                                        
                                    
                                
                                
                                    
                                
                            
                        
                
                
                
                
                  1九州リハビリテーション大学校
                
                
                  2九州労災病院
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                
                            
                            
                        
                
                            
                            
                        
                
                pp.633
                
                
                
                  
                  
              
              
              
                  発行日 1994年8月10日
                  Published Date 1994/8/10
                
                
                
                DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107661
                
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- 文献概要
先日夕食の約束をした友から,急に血圧が上がり,入院させられるので,約束をキャンセルしたいとの連絡があった.そこでなんとなく気になったのか,家で柄にもなく自分の血圧を計ってみたら,大分高くてびっくりした.もう歳だとは思ったが,脳梗塞でころっと死ぬのなら大往生でむしろ歓迎だが,ヘミプレジアになるのは嫌なので,治療を受けることにした.血圧の24時間連続測定などの検査を受けながら,ふと医師が突然やられる疾患のことを考えているうちに,連想で脊髄損傷に思いがいたった.こんな交通災害に満ちた車時代,またスポーツ社会では,だれでも何時脊損になるか判らない.突然脊損にみまわれた医師の手記を読みたいと思った.
ところが意外に本人が脊損になった医師の書いたものが見当たらない.あれこれしているうちに二宮八郎医師の「理想の社会福祉とリハビリテーション―身障者になった医師からの提言」(ヨルダン社,1984)という本を教えてもらった.二宮医師は厳寒に往診に出かけ転倒事故にあい,頸髄損傷を受けたが,屈せず多くの苦闘から福祉とリハビリテーションの現状を問いかけている.しかし「脊損から旧に帰れないと悟った時,その人の悩み,悲しみは想像以上で,その本人でなければ到底わかりません」「ここに神はおわしません.いかに祈ろうとも奇跡は恵まれません」などの文章からも,その苦しみがうかがえる.二宮医師はその体験から,多くの提言をされている.
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