Japanese
English
特集 誤用症候群とその対応
対麻痺者の上肢末梢神経障害
Peripheral Neuropathies of the Upper Extremities in Paraplegias.
堂園 浩一朗
1
,
蜂須賀 研二
1
,
緒方 甫
1
Koichiro Dozono
1
,
Kenji Hachisuka
1
,
Hajime Ogata
1
1産業医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
末梢神経障害
,
対麻痺者
,
誤用
Keyword:
末梢神経障害
,
対麻痺者
,
誤用
pp.381-385
発行日 1994年5月10日
Published Date 1994/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107608
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はじめに
近年,障害者の社会参加が盛んに行われるなか,脊髄損傷による対麻痺者においても例外ではなくなってきた.彼らは車いすを残存機能である上肢で自由に操作し,見事に社会復帰しているものが多い.さらに体力増強と生活の質の向上のためにスポーツに励むものも少なくない.
しかし,健常人では通常使用しない上肢を移動・移乗などの日常生活の手段として使用するために車いすの操作による上肢の使い過ぎ―過用や,誤った車いす操作―誤用による上肢の二次障害も報告されるようになってきた.
車いす操作による二次障害で多いのが痛みであり,多くの報告がある.さらに近年車いす常用対麻痺者で上肢の末梢神経障害が生じることが報告されている.われわれの教室でも筋電計により,対麻痺者の上肢の神経伝導速度の測定を行ってきた.本稿でははじめに対麻痺者の上肢の二次障害について簡単にreviewし,そのうえで車いすを常用する対麻痺者に生じる上肢の末梢神経障害を当教室の結果とこれまでの諸家の研究を併せて報告する.最後にこの障害の生じるメカニズムやその原因などを考察し,それに対する予防方法などについて述べたい.
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