Japanese
English
特集 ADLとQOL
QOLをどう考えるか
The Quality of Life Concept.
中江 公裕
1
Kimihiro Nakae
1
1獨協医科大学公衆衛生学
1Department of Public Health, Dokkyo University School of Medicine
キーワード:
QOL
,
構造
,
評価
,
well-being
Keyword:
QOL
,
構造
,
評価
,
well-being
pp.917-921
発行日 1993年11月10日
Published Date 1993/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107481
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はじめに
現代医学はこれまで延命を重要な指導原理としてきた.長寿,生存率の延長は医学の崇高な目標であったし今も変わらない.またリハビリテーションの分野では,ADLの改善など,量的に客観的に評価できる指標が好んで用いられてきた.しかし今日,完治の難しい慢性疾患,老人医療,わけても悪性新生物,循環器疾患など多くの疾患において,量的評価を超えた人間存在の質的評価(Quality of Life;QOL)をもって,医療・技術の新しい評価基準とするうねりがみられる.この潮流は,医療品質や保健・医療政策の評価にも及び,医療以外の多くの分野(社会学など)でも注目される評価方法となっている.この潮流を生み出した今日的背景には,人類の繁栄と物質的豊かさのなかで,一人一人の存在や人生をより価値あるものに高めたいという生の価値観の変容(shift)があるのではないかと思われる.現代があらゆるものの価値観を見直す時代といわれ,医療の分野でも,患者の生の在り方に主眼を置いた治療法への転換が求められていることとQOLの登場とは軌を一にしている.
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