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短報
高齢者の主観的QOLの評価―PGCモラールスケールの工夫と満足度100点法について
Evaluation of subjective QOL in elderly: Modified PGC morale scale and the degree of satisfaction in the scale of 100 points.
小林 法一
1
,
宮前 珠子
2
Norikazu Kobayashi
1
,
Tamako Miyamae
2
1広島大学大学院医学系研究科
2広島大学医学部保健学科
1Graduate School of Medical Science, Hiroshima University
2Institute of Health Science, Faculty of Medicine, Hiroshima University
キーワード:
QOL
,
評価
,
高齢者
Keyword:
QOL
,
評価
,
高齢者
pp.359-362
発行日 2002年4月10日
Published Date 2002/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109741
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はじめに
生活満足感や幸福感などの主観的なquality of life(以下,QOL)を評価することは,問題点の把握やリハビリテーションの効果を判定するうえで重要である.とくに高齢社会を迎えた今日,高齢者が延長された老年期をいかに過ごすか,その生活の内容が問われるようになり,主観的なQOLの評価はリハビリテーションにおける主要な評価項目となっている1).
主観的なQOLを評価する方法はこれまでいくつか開発されており,高齢者用としてはPGCモラールスケール(Philadelphia Geriatric Center Morale Scale;以下,PGC)2)が代表的である.しかし,PGCの質問項目は「生きていても仕方がないと思うことがありますか」など否定的な質問が連続するため,健常者はともかくとしても慢性障害の状態にある高齢者に対しては,対象者に与える心理的負担を考えると利用しにくい画がある.
そこでわれわれは,高齢者の主観的QOLをより便利に評価する試みとして2種の方法を考案した.一つは既存の測定法であるPGCの質問項目3)に肯定的な質問を加える工夫を施した“工夫版PGC”であり,もう一つは今回新たに考案した“満足度100点法”である.実際に高齢障害者を対象に行ったところ,これらはどちらも既存のものに比べ利用しやすい印象を得たが,臨床の場において利用可能であるかどうかについてはさらに信頼性と妥当性の保証が必要である.この研究では,高齢者の主観的なQOLを評価するために考案した“工夫版PGC”および“満足度100点法”の信頼性と妥当性について検討したので報告する.
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