解説
福祉用具の研究開発および普及の促進に関する法律
初山 泰弘
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
pp.785
発行日 1993年9月10日
Published Date 1993/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107445
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平成5年5月6日公布された表題の法律第38号(以下「福祉用具法」と略す)は,総則,基本方針,指定法人,新エネルギー・産業総合開発機構の業務および地方公共団体の講ずる措置など5章27条と,付則の4条とから成り立っている.この法は「福祉用具」という新しい法律用語の概念を規定し,それに対する国の方針を示した基本的な法律といえる.
第1章,第1条目的:「日常生活に支障をきたす老人,心身障害者の自立促進およびその介護者の負担の軽減を図るため,福祉用具の研究開発および普及を促進し,同時に産業技術の向上に資すること」.同第2条福祉用具の定義:「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人または心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具およびこれらの者の機能訓練のための用具ならびに補装具をいう」とそれぞれ明記されている.この「福祉用具」という用語が取り上げられた背景は必ずしも明確ではないが,従来の「福祉機器」は,訓練機器,介護機器,自立促進機器,日常生活支援機器,リハビリテーション機器など使用者によって多様な形で用いられ,概念規定および分類が必ずしも統一されなかった点,および福祉機器というイメージは高度先端技術を駆使した機器という印象が強く,高齢者対応の老人用具,障害者向けの盲人用具,日常生活用具,自助具などは機器という用語に馴染みにくいなどの意見があり.新たに設けられたものではないかと思われる.
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