特集 地球温暖化対策―京都の約束
省エネルギー技術の開発と普及に関する課題と展望
永田 豊
1
1(財)電力中央研究所・社会経済研究所
pp.967-971
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101459
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地球温暖化対策では,エネルギーの最終消費時点における効率の改善,いわゆる省エネルギー(省エネ)化の推進が重要であると言われている.OECD/IEAでは,様々なCO2排出抑制技術を普及させることにより,2050年における世界全体のエネルギー起源CO2排出量を,2005年水準に抑制するとしたACT(Accelerated Technology)シナリオ,および2005年水準より半減するとしたBlueシナリオの分析を行っている1).それによると,各種のCO2削減対策のうち,最終消費時点の効率改善のみがマイナスの費用でCO2を削減することができ,その規模は現在の日本からの排出量をやや上回る約15億トンと見積もられている(図1).CO2の削減費用がマイナスとなるのは,効率改善に必要な追加的費用より,その機器の耐用期間以内で節約できるエネルギーコストのほうが多いためである.一例では,白熱電球を電球型蛍光灯に交換することが挙げられる.電球型蛍光灯は,価格が同じ明るさの白熱電球の約10倍と高いが,寿命も約10倍と長いため,電球型蛍光灯を取り換える期間に交換する白熱電球の数を考慮すると,価格の差分はほとんどなく,効率向上による電気料金の節約効果を加えると,総費用がマイナスとなるためである.
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