巻頭言
自立心と人間愛
綾田 裕子
1
1阪和泉北病院理学診療科
pp.455
発行日 1993年6月10日
Published Date 1993/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107371
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伝統的日本社会は今,音をたてて崩れており,国際面でも国内面でもあらゆる面で急激な変化への対応を迫られているのをひしひしと感じるこの頃です.最近10年間の老人医療面での変化も急激で,これは30年以内に4人に1人が65歳以上という超高齢化社会に適応せざるを得ない変化でもあるわけです.私は,老人病院に勤務して,この10年間の制度の変化の中で多くのお年寄りと接してきました.
現在,特別養護老人ホームは入居まで何年も待たねばならず,独居の老人や家族の介護困難のため地域での生活が困難となった老人の受け皿は今すべて老人病院です.しかし,増加し続ける高齢者をいつまでも老人ホームがわりに病院が受け入れ続けられるわけがありません.それの代わり(?)に登場している「在宅ケア」は今のところ「目的不明」としか言いようがなく,どういった人々を対象にしているのかが明確ではない気がします.
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