東西南北
人間愛
今泉 英一
1
,
三宅 史平
2
,
伊達 巽
3
,
磯崎 澄子
4
1上野動物園
2日本エスペラント学会
3明治神宮
4警視庁防犯部
pp.13
発行日 1968年7月1日
Published Date 1968/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914037
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愛情は人と人の間の,人と動物の間の,人と無生物との間のどれも本質的にはかわらないものだと思う。多くの夫婦をみるが,どうしてあんな奥様を選んで長年つれ添っているのかしらと思い,あんな旦那様になぜ嫌気がささないのかなと感ずることがある。人には好き嫌いがあるからすべての人に愛を持てないのは当然だが,交際して理解することで立派に成立つのだと思う。動物同士にも好き嫌いが多少あるが,上野のチンパンジーの雄は3回も妻を替えてやっても一向に性的愛情は示さない。同棲している限りどれとも仲はいいのだが,彼らの愛は人とは違うらしい。私は商売柄,人と動物の愛が一番確かだと思う。人には結婚さぎがあるが,動物は敏感で愛の中味を悟り,心底からの愛情かみせかけかがちゃんとわかる。人の愛にはライオンだって同じ程度で愛情を返してくる。人間同士もぜひこうありたいもので,本当に楽しい安心できる世の中になるだろう。
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