連載 ほんとの出会い・38
愛の形を心にとどめる
岡田 真紀
pp.426
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101335
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昨年,49歳の若さで友人がガンで亡くなった。私と彼女の,今は大学生の息子たちが同じ保育園で育ったのだ。二人とも重いアトピーで,彼女の息子は肉類はむろん魚もだめ,野菜でもトマトやほうれん草は食べられないほど。いつも息子のために特別なお弁当を作り,職務時間の長い幼稚園勤めだったために,朝も夕方も人に頼んで二重保育という厳しさを笑顔でこなしていたのだった。
下にもう一人男の子が生まれて間もなく,体調を壊し,14年間もの長い間民間療法に頼る闘病生活を送っていた。下の子の食物アレルギーもひどく,アナフィラキーショックを起こしたこともあった。母親として自由に外に行けない閉じこもりがちの生活が子どもたちから家庭の楽しさを奪っているのではないか,と彼女は気にかけていたが,不自由な生活での鬱屈した気持ちを外に出すことはなく,明るくふるまう姿は,息子たちを素直でのびやかな青年へと成長させていた。
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