Reciprocating Gait Orthosisと長下肢装具の歩行速度・エネルギー消費量の比較―腰髄損傷対麻痺者1例について

Energy Consumption and Gait Speed in a Paraplegic Patient using the Reciprocating Gait Orthosis and the Long Leg Brace.

はじめに

　脊髄損傷対麻痺者の装具歩行は，主に長下肢装具（以下，LLBと略す）が使用されてきたが，高いエネルギー消費量が実用上，訓練上とも障害となる．Douglas¹⁾らが開発したReciprocating Gait Orthosis（以下，RGOと略す）は，欧米では二分脊椎児や脊髄損傷対麻痺者に使用されている．本邦では二分脊椎児へのRGOの使用経験^2，3)が報告されている．

　今回筆者らは，1例の腰髄損傷対麻痺者にRGOを製作し，約5か月間の歩行訓練で良好な歩行能力の改善をみた．そこで，RGOおよび症例を紹介し，RGOとLLBとの間で歩行速度，エネルギー消費量，エネルギーコスト，心拍数を比較し，有用性について検討した．