Japanese
English
研究と報告
重症心身障害児(者)のエネルギー消費量の推定法の検討
Estimation Method of Energy Expenditure in the Severe Handicaped.
下村 勉
1,2
,
矢部 京之助
1,3
,
篠田 達明
1
,
岡田 喜篤
1
Tsutomu Shimomura
1,2
,
Kyonosuke Yabe
1,3
,
Tatsuaki Shinoda
1
,
Kitoku Okada
1
1愛知県心身障害者コロニー
2三重大学教育学部教育工学センター
3名古屋大学総合保健体育科学センター
1Aichi Prefectural Colony.
キーワード:
重症心身障害児
,
呼気ガス分析
,
心拍数測定
,
エネルギー消費量
Keyword:
重症心身障害児
,
呼気ガス分析
,
心拍数測定
,
エネルギー消費量
pp.699-704
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105447
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まえがき
重症心身障害児・者(以下,重症児と略す)は,重度の肢体不自由と重度の精神遅滞を重複しており,身体発育や日常の生活様式・運動様式が健常人と著しく異なっている.このような重症児の健康管理や運動処方の基礎資料を得ることを目的に,本稿では,呼気ガス分析と心拍数の24時間測定に基づいて重症児の一日のエネルギー消費量の推定を試みる.
エネルギー消費量を活動量の面から求める最も信頼性の高い生理的指標は酸素摂取量であるが,長時間の測定は困難である.それに対し,心拍数は測定が容易でしかも酸素摂取量と相関関係にあるので,心拍数から間接的に酸素摂取量およびエネルギー消費量を推定する方法がよく用いられる.本研究も,この方法を用いるが,この時,心拍数と酸素摂取量との関係式は,個人差や年齢への依存性もあるので,あらかじめ個々に求めておく必要がある.この心拍数と酸素摂取量の関係について,健常人を対象とした報告は多い3,7)が,障害児とくに重症児に関するものはほとんどない.
本研究では,まず,重症児の個々の呼気ガス分析から,この関係式を実験的に求めた.それと,24時間心拍数の測定結果とから一日のエネルギー消費量の推定を行った.ガス分析に際して,重症児の移動(運動負荷)に対応できるように新たに実験用マスクも開発した.得られたエネルギー消費量は,実際の食物摂取熱量と比較検討した.
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