Japanese
English
短報
健忘症状が著明な1頭部外傷例に対するチームアプローチとSTの役割
A Comprehensive Team Approach to a Traumatic Brain Injured Patient: ST's Role in the Cognitive Rehabilitation.
山本 映子
1
,
本田 哲三
2
,
丹羽 正利
1
,
島田 進
1
,
竹本 喜一
1
,
村上 恵一
2
Eiko Yamamoto
1
,
Tetsumi Honda
2
,
Masatoshi Niwa
1
,
Susumu Shimada
1
,
Kiichi Takemoto
1
,
Keiichi Murakami
2
1東海大学病院リハビリテーションセンター
2東海大学医学部リハビリテーション医学教室
1Rehabilitation Center, Tokai University Hospital
2Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University School of Medicine
キーワード:
認知リハビリテーション
,
チームアプローチ
,
個別認知訓練
Keyword:
認知リハビリテーション
,
チームアプローチ
,
個別認知訓練
pp.143-146
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107294
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はじめに
頭部外傷後には身体機能障害に加え,注意,記憶をはじめとするさまざまな認知障害が生じ,障害の否認や行動異常により,リハビリテーションプログラムが円滑に進みにくいことは周知の通りである.わが国における頭部外傷のリハビリテーションに関する学会報告は渉猟しえた範囲では及川ら17)(1982)が脳幹部挫傷の症例で早期リハビリテーションの重要性を指摘したのが最初で,その後,大橋ら15)(1984)が頭部外傷児童・生徒の復学調査報告を,近藤ら12)(1988)が脳卒中とは異なる頭部外傷の特徴を,本田ら6)(1989)が包括的リハビリテーションプログラムの必要性を指摘した4編のみである.一方,論文では「総合リハビリテーション」誌で頭部外傷の特集が組まれ(1982),安藤ら2)がリハビリテーション効果の報告を,その後,竹田ら19)(1989)が脳損傷児の社会適応を,大橋16)(1990)が脳外傷リハビリテーションの問題点を指摘している.しかし頭部外傷例に対する認知機能障害の指摘はあるものの,具体的な認知リハビリテーションプログラムの報告は鹿島ら9)(1990)の注意障害のリハビリテーションの報告のみである.以上明らかなように,わが国において頭部外傷は脳卒中などと同様に脳損傷群の中に包括して扱われてきており,実際の取り組みは遅れているのが現状である,今回われわれは著明な健忘症状を示した1頭部外傷例に比較的早期からチームアプローチによる認知訓練を試みたので,プログラムとSTの個別訓練内容を紹介したうえで治療経過を報告する.
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