Japanese
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特集 重症心身障害児の合併症
重症心身障害児の臨床検査成績の異常
Unusual Data of Laboratory Medicine in Children with Severely Mental and Physical Handicaps.
岡田 喜篤
1
Kitoku Okada
1
1札幌あゆみの園
1Sapporo Ayuminosono Training School and Hospital
キーワード:
心身障害児
,
臨床検査
Keyword:
心身障害児
,
臨床検査
pp.115-120
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106724
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はじめに
重症心身障害児(以下,本稿では重症児と略す)とは,わが国独特の福祉政策上の概念である.それは児童福祉法に示されており,「重度の精神薄弱と重度の肢体不自由を重複した児童」とされている.すなわち,重症児というのは,法律・行政上の概念であって,医学的に合理的な根拠をもつ概念とはいいがたい.したがって,重症児に共通した病理的背景,症状,あるいは検査所見を求めることは必ずしも容易ではない.
しかし,重症児の専門入所施設(つまり重症児施設)は,これもわが国独特のものであるが,医療法に基づく病院でなければならないとされており,そこでは重症児に対して組織的・系統的な入院医療が展開されている.ここでは,そうした背景によって得られた医学的な知見のうち,ごく通常の臨床検査成績に関する異常所見について概観することとしたい.
ところで,わが国の障害児および満18歳以上の障害者のための福祉体系は,それぞれ別になっており,いわゆる児・者二本立てが原則である.しかし,重症児の場合にはそのような区別がなく,例外的に児・者一貫となっている.すなわち,満18歳以上の人でも,実際の処遇に際しては児童福祉施設である重症児施設に入所することになっている.このため,重症心身障害の状態であれば満18歳以上でも便宜的に「重症児」と呼ぶことがある.本稿でも,特に断らない限り,満18歳以上の人や成人を含めて「重症児」と呼ぶことにする.
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