Japanese
English
紹介
進行性筋萎縮性疾患末期呼吸不全における器械的人工呼吸下での発声
A Clinical Study for Speech of Progressive Muscular Diseases Treated by Mechanical Ventilation with Tracheotomy.
笠木 重人
1
Shigeto Kasagi
1
1国立療養所松江病院小児科
1Department of Pediatrics, National Matsue Hospital
キーワード:
筋ジストロフィー
,
人工呼吸
,
発声
Keyword:
筋ジストロフィー
,
人工呼吸
,
発声
pp.55-58
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106711
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はじめに
種々の進行性筋萎縮疾患において,その多くは末期に至ると呼吸筋群の著明な筋萎縮と筋力低下により,呼吸運動が障害され,肺胞低換気を生じ,致死的な呼吸不全が出現する1).疾患への根治療法がない限り,この呼吸不全に対しては対症療法として長期の器械的人工呼吸法しかない.
しかし,人工呼吸器装置の適応2)について,患者・家族,そして治療者それぞれに苦悩を生じている.その主な理由は,①進行性疾患であり,人工呼吸を終了できる見込みがないこと,②気管切開を必要とすることから,発声が妨げられること,③四肢の運動機能障害のため,非言語的コミュニケーション手段に期待できないこと,である.
以上のことから,延命したとしても身体的訴えをはじめ,意志表現が著明に制限されてしまう.したがって,気管切開を必要としない人工呼吸法として体外式人工呼吸器が導入されてきている3,4).
1985年,螺良,土肥ら5)は,気管切開を施しているDuchenne型筋ジストロフィー(以下,DMD)患者に対し,気管切開チューブ(以下,気切T)を改良することにより,発声が可能になると報告した.我々はこの報告をもとに,さらに種々の気切Tを用い,気管切開下での発声について検討した.その結果につき報告し,考察することを本論文の目的としている.
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