Japanese
English
特集 リハビリテーションと疲労
心臓と疲労
Heart and Fatigue.
土肥 豊
1
Yutaka Doi
1
1埼玉医科大学内科
1Department of Internal Medicine, Saitama Medical School.
キーワード:
疲労
,
心不全
,
低血圧
Keyword:
疲労
,
心不全
,
低血圧
pp.591-595
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106567
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はじめに
疲労ないし易疲労感は,必ずしも心臓病に特異的なものではなく,内科疾患の殆ど全てに伴うものといっても過言ではない.そのなかで,とくに心臓との関連で言うならば,心拍出量の減少をきたすような心不全状態において疲労はかなり初期からの重要な症状のひとつであるといえる.
例えば表1に示すような,診断点数表においても,疲労は浮腫や心拡大と並んで,うっ血性心不全の有意な症状の一つとして取り上げられている.このことは,特にリハビリテーションとの関連において言うならば,訓練中の患者が異常に疲労感を訴える場合にはひとつの原因として潜在性心不全の存在を常に念頭において,その方面のチェックを忘れずに注意することが望ましいと思われる.
但し,一方において,疲労の原因のひとつに精神的不安が関与することもいなめない事実であり,これらの精神的要因と真の心臓由来の疲労感とを充分注意ぶかく鑑別しなければならないことも大切なことである.
患者によっては,訓練を受けたくない為にすぐ疲れたと訴える人もいるが,そのような場合には注意深い観察によって真の疲労と詐病としての訴えとを区別しなければならない.また,高齢者の場合には心不全がおこっていても,なかなか顕性の症状として出現せず,重篤な症状に至る一歩手前位まで単に疲労感程度のまま推移することがあるので,この点充分注意する必要がある.
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