巻頭言
リハビリテーション医療の姿勢
石神 重信
1
1防衛医大リハビリテーション部
pp.235
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106488
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急性期からの早期リハの必要性は,漸く一般に認識されてきたと考えて良かろう.しかし,リハをすれば元通りになるとか,リハをしていなければ機能が落ちてしまうといった誤った考えかたも根強く,この辺りでリハ医療継続の適応や治療期間に対して明確にしておく必要があるのではなかろうか.
入院期間が制限される急性期病院でのリハでは,どのくらいの治療期間に機能的にどこまで回復するか評価することはリハ医の重要な機能である.また,集中リハ必要例にはリハ病院への転院やリハ非適応例には収容医療的病院への転院などと,ある意味でリハのスクリーニング機能をもつことも,他科に対してリハの存在価値を示す重要な役割と思われる.しかしながら,全てが円滑に運ぶわけでなく,治療により改善して家庭復帰可能と判断した例でも退院を渋るものとか他のリハ病院への転院を求めていく事例も少なくない.他科入院患者の場合で主治医を介しての要望に対しては,対応が難しいこととなる.転院に際しては,受け入れ施設から適応の意見さえ求められないことが多いが,考えてみれば奇妙なことでもある.このような患者に対していつまでリハを続けなければならないのかと,リハの入院基準や治療期間について考えさせられることが多い.
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