Japanese
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特集 四肢麻痺
在宅頸髄損傷患者の実態
Follow-up Study on Cervical Cord Injury Patients.
博田 節夫
1
,
土井 照夫
2
Setsuo Hakata
1
,
Teruo Doi
2
1国立大阪南病院理学診療科
2星ヶ丘厚生年金病院整形外科
1Department of Physical Medicine and Rehabilitation, Kokuritsu Osakaminami Hospital.
2Department of Orthopedic Surgery, Hoshigaoka Koseinenkin Hospital.
キーワード:
頸髄損傷
,
家庭復帰
Keyword:
頸髄損傷
,
家庭復帰
pp.671-675
発行日 1979年9月10日
Published Date 1979/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104198
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はじめに
脊髄損傷者のリハビリテーションは,病院や施設への収容から社会復帰へと著しい進歩を遂げたとはいえ,生活環境,就労率,職場環境などいずれをみても,諸外国に比して満足すべき状態に至っていない.さらに,最近では頸髄損傷者の増加とその重度障害による社会復帰の困難さのため,新たな収容問題が起っている.1964年以降の統計によれば,脊髄損傷に占める頸髄損傷の割合が急速に増加している1~5).頸髄損傷者は日常生活において常に介護者を必要とすることから,長期入院あるいは病院収容の状態となり,発生数の増加も加って病床占有率が高くなっている.
著者らは,昭和47年7月から星ヶ丘厚生年金病院において,脊髄損傷者の社会復帰に積極的に取り組んで来た.当初は収容の目的で転医して来た患者が多く,入院期間が長期にわたり,対麻痺・四肢麻痺あるいは完全麻痺,不完全麻痺に関係なく,3年以上入院を継続するものが50%以上を占めていた6).入院患者の調査から,これらの患者の社会復帰を阻害する因子として,身体的不安が最も大きな比重を占めることが分り6,7),患者およびその家族に対して退院後の管理法を教え,身体的異常の発生時には再入院を確約し退院を推進した.社会的・経済的因子に関しては予期に反して比較的重要度が低いと思われ,これらの因子がどの程度関与しているかを知るためには,退院後の実態調査が必要と考えられた.それ故,昭和49年から2年毎にアンケート調査を行ったが,そのうち昭和51年および53年の調査から頸髄損傷者の実態を述べる.
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