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特集 脳卒中リハビリテーション・プログラムの再考
脳卒中早期リハビリテーションの実際(1)―座位訓練とそのリスク管理
Practice of Early Stroke Rehabilitation (1): Sitting Exercise and Risk Management.
近藤 克則
1,2
,
戸倉 直実
1
,
二木 立
3
Katsunori Kondo
1,2
,
Naomi Tokura
1
,
Ryu Niki
3
1代々木病院リハビリテーション科
2船橋二和病院理学診療科
3日本福祉大学社会福祉学部
1Department of Rehabilitation Medicine, Yoyogi Hospital
3Department of Social Welfare, Japan University of Social Welfare
キーワード:
脳卒中
,
早期リハ
,
座位訓練
,
リスク管理
,
再発・進行
Keyword:
脳卒中
,
早期リハ
,
座位訓練
,
リスク管理
,
再発・進行
pp.929-934
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106391
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はじめに
脳卒中の早期リハビリテーション(以下,リハと略す)の重要性が理解され普及するにつれ,座位訓練の開始時期も徐々に早くなり,発症後数日以内とすることは,リハ関係者の間ではほぼ合意が得られてきたと思われる1~3).
他面,脳卒中発症直後には脳循環の自動調節機能障害があるために,早期座位は病状悪化を招く危険があり,発症後2週間は開始すべきではないとする報告も出され,早期座位訓練の在り方は一つの論点となっている4,5).
我々は患者の状態を考慮しつつ,できる限り早期から座位訓練を行ってきた経験を改めて振り返り,この数年間,早期座位と脳卒中の再発・進行との関連について検討を行った.その結果,①脳卒中の急性期には再発・進行が25%も見られること,②再発・進行は入院直後に集中していること,しかし③入院時軽症例には少なく重症例に多いこと,しかも④早期座位を行った群で再発・進行が増える傾向はないことが判明した.
本稿ではまずこの間の一連の自験データを紹介し,次に座位訓練のリスクについて文献学的考察を加える.その上で,座位訓練の層別化の必要性について述べたい.
なお,座位耐性訓練と座位バランス訓練とは,目的により区別される.しかし,本稿では入院時から座位が可能な患者などで,座位するときの目的が耐性訓練か,バランス訓練か区別しがたい場合に座位訓練という用語を用いることにする.
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