Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.保健婦の仕事
保健婦規則が制定されたのは,日本が第二次世界大戦に突入した昭和16年であるので,既に36年目を迎えているが,実際に公衆衛生看護活動として地域住民全員の保健衛生に関しての把握と指導性を発揮してきたのは,ずっと後になってからであることはやむをえない.高知県においては昭和23年から保健所保健婦の管内各市町村への地区駐在制が実施されているが,保健婦業務の初めから現在に至るまでのすべてに精通し,現在なお全国保健婦の指導的役割りを果している上村聖恵氏のいう「特定の地域のみの公衆衛生事業が百歩前進できることよりも,全地域が一歩前進することが肝要である.」1)という表現に,まさに適した対応というべきであり,これにより初めて保建所業務が広く地域全員に滲透する可能性ができたといっても過言ではあるまい.保健婦には,市町村に所属する国保の保健婦と,保健所に所属する保健婦があり,共に同様の仕事をしているが,高知県では保健所保健婦の方が圧倒的に多く,しかもお互いが有機的に活動できるように配慮されているので,高知県における保建婦活動としては,やはり保健所保健婦の活動と同義に解釈してよいと思う.
保健婦の仕事としては,その当時の住民の健康に直接大きく関与することに重点がおかれるのは当然であり,はじめは急性伝染病や乳幼児,妊婦指導(死亡率が高かった)に,急性伝染病もやや減少してくると,国民病ともいわれた結核からの住民の健康管理に最重点がおかれ,さらに医学の進歩と健康の向上と相俟って,その業務は次第に広がり,戸別訪問を混じえながら,乳児健診,3歳児健診,結核検診(児童および一般住民を対象),成人病検診,胃癌検診,子宮癌検診,貧血検査,血液型検査,栄養指導,さらに衛生教育,精神障害者,在宅長期病臥者の問題など,非常に幅広い業務が遂行されているのが現状である.
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.