Japanese
English
特集 脳性麻痺と加齢
地域における高齢脳性麻痺者の現状と問題点―宮城県から
Present Status and Problems of Elderly People with Cerebral Palsy in Miyagi Prefecture.
手塚 主夫
1
,
高橋 孝文
2
,
小川 泰治
3
Kazuo Tezuka
1
,
Takabumi Takahashi
2
,
Yasuharu Ogawa
3
1宮城県拓桃医療療育センター
2宮城県肢体不自由児協会
3宮城県心身障害者福祉センター
1Takuto Rehabilitation Centre for Disabled Children
2The Miyagi Society for Crippled Children
3Miyagi Prefecture Welfare Center for Disabled Persons
キーワード:
脳性麻痺
,
高齢者対策
,
福祉施設
Keyword:
脳性麻痺
,
高齢者対策
,
福祉施設
pp.681-685
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106340
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はじめに
老人医療・保健・福祉の施策の強化が急ぎ足に整備されつつあるが,重度の障害を生来持ちながら高齢化した障害者の対策は,必ずしも十分に検討されているとはいえない.中でも脳性麻痺のように老化に伴う障害に加えて,生来的な,しかも特異な運動障害のほかに,言語面・知的面等々多重障害を持つ障害者にとって,現在考えられている地域社会(市町村)における高齢者サービス,例えば機能訓練の実施・介助方法の指導にしても,専門的指導者がいるとは思われず,地域を越えて専門施設のリハビリテーション指導者の協力を求める体制が必要となろう.しかし,高齢脳性麻痺者の人口密度から考えると,地域に密着してニードに対応し得る人,質,量を整備することは極めて困難と思われ,それでなくとも,脳性麻痺を含めてこのような障害者がどのくらい地域にいるかという数さえつかみ切れないのが実態であると思う.
今回のテーマを与えられ,かつて筆者らの肢体不自由児施設に措置され,現在40歳以上になっているはずの脳性麻痺者44人をチェックしてみたが,所在を確認できたのはわずかに過ぎず,また親の会などを通して検討してみたが,事実上全体の数を,したがってまた実態を把握し得るものではなかった,したがって,ここに述べる高齢脳性麻痺者の状況は,ほとんどが福祉施設を対象にアンケート調査をした結果に基づくものである.
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