書評
海老原進一郎・高木康行・厚東篤生 著―脳卒中ビジュアルテキスト
亀山 正邦
1,2
1住友病院
2京都大学
pp.775
発行日 1989年10月10日
Published Date 1989/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106143
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海老原進一郎,高木康行,厚東篤生3氏の共著である「脳卒中ビジュアルテキスト」を読んだ.著者らが述べているように,本書は必ずしも系統立てて読み進む必要はなく,思いのままのところをめくっても十分に内容が理解され,知識として残るよう,よく配慮されている.ことにCT所見を脳の解剖と血管支配の両面から,かなり細かく説明している点は貴重であり,他に類をみない.そして,脳血管障害の臨床・生理・生化学・病理・成因・予防・治療の面について,最もupdateな知識が手際よくまとめられている.実際には,かなり高次な神経学的分析が行われているのであるが,それが難解でなく,すんなりと身につくのである.著者らの力量のほどが偲ばれる.
各タイプの脳出血や動脈閉塞の症候がCT,血管造影所見,剖検所見と対比して重点的に記載されている.ことに最近の知見をふまえた解説は説得力に富む.また,メモとして小枠にまとめられた内容は,専門的な立場からも重要である.しかも決して偏らず,公平に記載されている.
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