巻頭言
早期療育に思うこと
小池 純子
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター
pp.401
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106066
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早期療育・超早期療育の必要性が叫ばれて久しい.周産期に至るまでのリスクが障害の原因となることの多い小児の場合は,この時期の対応が直接障害の予後につながること,この時期の対応は障害が固定してから行われる訓練・指導より効果的であること,この時期に対応しなければ結局のところ,後手,後手で福祉対策を立てなければならないこと,こうしたニーズの発生が,一施設,一機関から地域へと広まり,私の勤務する自治体でも,ようやく行政を動かし,その受け皿としての療育システムの再編成に着手されたところである.その基本的な構想は,全市を6地区に分け,それぞれの地域に,地域療育センターを建設し療育の中核的役割を持たせる,さらに,6か所の療育センターは市の総合リハセンターにより統合される,というものである.現在のところ,2か所目の地域療育センターがオープンするという段階であり,総合リハセンターでは,統合的な役割に加え,一地域における療育システムのモデル作りを行っている.具体的には所轄の保健所の4カ月児健診,1歳6カ月児健診の二次スクリーニングに当センターより専門職を技術援助というかたちで派遣することからスタートする.前者では,脳性麻痺のリスク児,後者では精神発達遅滞児の発見が主な目的であることはいうまでもない.
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