Japanese
English
研究と報告
移動能力障害を伴う在宅患者の日常生活活動
Daily Activities of Patients with Locomotion Disability at Home.
佐直 信彦
1
Nobuhiko Sajiki
1
1東北労災病院リハビリテーション診療科
1Department of Rehabilitation Medicine, Tohoku Rosai Hospital.
キーワード:
日常生活活動
,
handicap
,
QOL
Keyword:
日常生活活動
,
handicap
,
QOL
pp.427-433
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106073
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はじめに
リハビリテーション医学の課題の1つに,Krusen1)の“Rehabilitation medicine should add life to the years as well as years to life”の言葉で示されるように,生き永らえた歳月にいかなる生命・生活を具体的に実現してゆくかというテーマがある.ようやくにして,近年,障害者の日常生活動作(ADL)の単なる自立のみならず,生活の質(QOL,quality of life)が問われるようになった2).
入院中の脳卒中患者の生活時間調査では,睡眠,洗面整容,更衣などの基本的生活時間や休養,ボンヤリ,医療の時間が増し,余暇,労働などの社会的生活時間が減少していた.このような生活時間構造に影響する要因として,運動・動作能力,年齢,知的能力などの個体要因と生活環境要因の重要性が指摘された3).入所中の肢体不自由児4)や在宅SMON患者5)でも同様の生活時間構造であった.以上より,運動・動作障害を伴う患者の社会的生活時間の減少は疾患の種類,入院・在宅を問わず共通の現象と考えられた.また,在宅SMON患者の社会的生活時間に影響する要因として家族構成,家庭内位座など社会文化的環境要因の重要性が示唆された6).
本研究では歩行・移動能力障害を伴う各種の疾患患者について活動状況調査を実施し,これらの患者の生活活動の特性を明らかにし,性,年齢,歩行・移動能力の個体要因と,家庭内位座,世代構成などの社会文化的環境要因の関連について分析したので報告する.
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